ご紹介するのはイギリスドラマ「刑事ファルチャー 失踪事件」
話数:全6話
コチラは2011年にイギリスで実際に起きた女性失踪事件で、詳細な調査と取材を元に製作された作品。
この事件を捜査するファルチャー警視をマーティン・フリーマンが演じています。
そしてドラマが本当にみせたいものは、容疑者が特定されてから。
それでは、かんたんなあらすじと感想です。
あらすじ
イギリスの小さな町で、シアンという若い女性が深夜未明に姿を消してしまう。
心配した彼女の家族と恋人が失踪届を出し、ボランティアも含めた大規模な捜索が始まるが彼女は見つからない。
やがてカメラの映像から1台のタクシーが特定され、運転手のハリウェルが容疑者として浮かび上がる。
シアンの安否が不明な中、警察はハリウェルを確保。
弁護士を呼ばれると黙秘される恐れがあるため、署には連行せずに聴取をするファルチャー警視。
しかしそれは1984年に設立されたPACE(刑事証拠法)に違反する行為で・・・
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感想
「ベンチがアホやから野球でけへん」って言った江本孟紀さんの言葉を思い出してしまった。
このドラマの場合は「法が」それとも「上層部が」と言ったほうがいいのかな。
シアンの安否がわからないためPACE(刑事証拠法)には違反しない特例だと判断したファルチャー警視。
見つかったのがシアンの遺体だけだったならばそれも通用したのかもしれない。
けれど、ハリウェルは8年前に別の遺体を遺棄したことも自白して案内した。
本来ならばここで署に連行されるべきだったんだけれど、ファルチャーはそのまま案内させることにしたんだよね。
今しか聞けないと思ったから。
その後、署に連行され弁護士と会ってからハリウェルは黙秘。
2人の殺害で裁かれるはずが、PACE(刑事証拠法)に守られ、シアン殺害の案件だけで裁かれることに。
ファルチャーは正義を果たしただけなのに、批判の的にされて結局は退職することに。
なんかおかしいよね。
彼に感謝したのは、8年前に家出し今回遺体で発見されたベッキーの母親のカレンだけ。
世の中はどうしてこうも弱い者に厳しいのか?
損得を計算したものが出世していくようになっている。
誰かを陥れることが誰かの成功へと結びついている。
処世術とは言いますが、人の持つ性なんですかね。
そしてこのドラマの興味深いところは、遺体で発見された娘たちの母親。
娘を殺害された母親という同じ立場ながら、一緒に語ってほしくないと思うシアンの母親のエレイン。
それは、自分の娘は真面目で、もう一人の被害者のベッキーのことは麻薬中毒の売春婦だと下に見てるから。
私は、そんな風に思うことを非難したいんじゃなくて、こんな時でもそんなことを考えるということに、生々しさを感じました。
いや、むしろこんな時だからこそそんなことを考えるのか。
ちょっと共感したと言ってもいい。
エレインがみせてくれた諸々の人間臭さが印象に残りました。
そして救いは、ベッキーの母親のカレンが諦めずに戦ったこと。
正直、スッキリはしません。
それでも一つの勝利を手にすることはできました。
法があるから秩序が守られるということは理解できるけれど、いつだってそれが全てだとするのはやっぱりおかしい。
加害者にばかり寄り添って、被害者のことをもっと考えることができないのなら、人が裁くことに意味なんてあるのかなぁ。
いっそAIのほうがいい裁きを下すかもしれませんね。
主な出演者
- スティーヴ・ファルチャー:マーティン・フリーマン
- エレイン・ビグフォード:シヴォーン・フィネラン
- カレン・エドワーズ:イメルダ・スタウントン
- クリストファー・ハリウェル:ジョー・アブソロム
- シアン・オキャラハン:フローレンス・ハワード
- ベッキー・ゴッデン:ステファニー・ハイアム