製作年:2020年
監 督:ピート・ドクター
主な登場人物
- ジョー・ガードナー(浜野謙太):中学校の非常勤音楽教師。ジャズピアニストの夢を諦めきれずにいる。
- 22番(川栄李奈):ソウルの世界で、ずっと人間になることから逃げ続けてきた子。ジョーと出会い人間の世界を知ったことで変わっていく。
- ジェリー:カウンセラー。ソウルたちのお世話係。
- テリー:勘定係。魂の数を数えている。
- ドロシア・ウィリアムズ:ジョーが憧れているサックス奏者。
あらすじ(ネタバレなし)
中学で音楽の非常勤講師をしているジョー。
ある日、校長から正規の職員に採用するとオファーを受けるが、プロのジャズピアニストの夢を諦めきれないジョーは浮かない様子。
そこへ元教え子から連絡があり、憧れのドロシアとプロの舞台で共演できることに。
大喜びし浮かれるジョーだったが、運悪くマンホールに落ちてしまう。
落ちた先は、光り輝く天界へと向かう平坦なエスカレーターの上。
せっかくチャンスを掴み、まだ死にたくないジョーは、そこからも落ち、たどり着いた先は「ソウル(魂)の世界」
そこはまだ生まれる前のソウルたちがいる場所で、そこで彼らの個性が色付けされていく。
最後の仕上げは、メンターと呼ばれる指導者と引き合わされ、きらめきを見つけ胸のバッジを地球への通行証へと変えること。
メンターになりすましたジョーは「22番」のソウルのメンターに。
しかし「22番」は人間になる気はなくずっと「ソウルの世界」で暮らすことを望んでいた。
そこでジョーは「22番」のきらめきをみつけてバッジを通行証に変え、譲ってもらう取引を「22番」と交わすのだったが・・・
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感想(ネタバレあり)
チャンスを掴んだとたんに不運に見舞われたジョー。
天界に行く運命だったのに抵抗したのは、叶えたい夢があったから。
そしてソウルの世界で出会ったのが「22番」
変化を望まない「22番」は人間になる気なんて全くなし。
共感した人も多いのでは?
そしてそんな正反対の二人がペアを組むことになったんだよね。
通行証が欲しいジョーと、そんなものいらない「22番」
利害が一致し取引も成立。
でも最後のパーツである「きらめき」はそう簡単には見つからない。
そこで迷えるソウルを助けているムーンウィンドの助けを借りて地上へと戻ったんだけれど、なんとジョーの体には「22番」の魂が!
そしてジョーの魂は猫の中へ。
ここからが本当のドラマの始まり。
自分の夢を叶えるために必死なジョーと、無気力ながらもきらめきを探す「22番」
きらめきなんて必要ないのにね。
生きることに理由や意味を求めるのは人間の悪いクセかも。
人が持つ固定観念がそうさせているのならそれはある意味恐ろしい。
私が鑑賞後に感じたのは、何気ない日常こそが幸せだとかそういうことではなく、どれだけ自分が否定しようとも、まわりに支えられているということ。
善意と思いやりとルール。
人を突き動かす原動力はエゴで、時にいきすぎちゃったり、潰されちゃったりもする。
救いを求めることが出来ない人も多いと思う。
でもそれでも手を差し伸べてくれる人はいる、ムーンウィンドのように。
だから少しくらい甘えてもいいんだよ、ってことなのかなぁと。
そして私がいいなぁと思ったのは、登場人物たちのイヤな部分をそう感じさせないように見せているところ。
ジョーだって、「22番」だって、描き方が違えば共感する人は減っていたと思う。
その中で私が好きなのは魂の数を数えているテリー。
ズルを許さずジョーを地上まで追いかけ連れ戻した勘定係。
ちょっとイタいヤツではあるけれど、ちょっとしたマヌケさがプラスされイヤな役どころで終わらせなかった。
それもこれもジェリーのおかげ。
ジェリーは人間界で言うならば、調整役を果たしているんだよね。
「22番」のバッジを通行証へと変えたジョーを地上へと戻してあげた。
テリーのことをダマしてね(*`艸´)ウシシシ
そこには感謝と思いやりがあったからだと思う。
しかも誰も傷つけてはいない。
物語を引っ張ったのはもちろんジョーと「22番」だけれど、救いがあるのを教えてくれたのは脇役たち。
ムーンウィンドのボランティア精神、テリーが大切にするルールの必要性、調整役を果たしたジェリー。
最後に魂の数をちょろまかしたジェリーは、柔軟性の大切さも教えてくれているのかもしれませんね。
時にはルールを曲げてもいいんだよって。
鑑賞した人の数だけいろんな感想が生まれそうな作品でした。