ご紹介するのは映画「最後の決闘裁判」
現在、ディズニープラスにて配信中(2021年12月現在)
製作年:2021年
監 督:リドリー・スコット
時 間:2時間34分
原作は、エリック・ジェイガーの著書「最後の決闘裁判」
14世紀のフランスで合法的に行われた最後の決闘裁判を、史実に基づき製作された作品。
妻が旧友に凌辱されたためその審判を仰ぐべく決闘裁判に持ち込んだ夫。
騎士である夫、ジャン・ド・カルージュをマット・デイモン、その妻のマルグリット・ド・カルージュをジョディ・カマー。
そしてジャンの旧友のジャック・ル・グリをアダム・ドライバーが演じています。
映画は、夫、妻、旧友と3人の視点で順番に描かれており、それぞれがどう感じていたのかが気にならずにはいられない展開。
それではかんたんなあらすじと感想です。
あらすじ
ジャンとジャックは同じ戦場で戦う戦友同士で、ジャックにとってジャンは命の恩人。
しかし2人のあいだには決定的な違いが!
それは、領主のピエール伯爵に気に入られているジャックと、逆に嫌われているジャン。
2人のあいだの友情は本物だったけれど、これが小さな火種に。
やがて、ジャンはロベール・ド・ディボヴィルという一度は国王を裏切り恩赦を受けていた男の娘・マルグリットを紹介され結婚。
裕福な一家だったので持参金もかなりあったのだが、その一部である土地をピエール伯爵は取り上げ、ジャックに与えてしまう。
もちろん納得いかないジャンは王室に訴えるのだが却下され、ますますピエール伯爵から嫌われることに。
その上、父親が亡くなり自分が継ぐはずだった「べレム長官」の座もピエール伯爵はジャックに与えたためジャンは激怒!
ますます立場を悪くし、ジャックとの関係も悪くなる。
それがきっかけで政治から遠ざかっていたのですが、従騎士仲間に男の子が誕生し祝いの席に招待される。
そこでジャックにマルグリットを紹介。
美しいマルグリットに惹かれるジャック。
そして時は過ぎ、屋敷にマルグリットしかいない時に従者を連れてやってきたジャックは、マルグリットを凌辱。
マルグリットは戻ってきたジャンにジャックに強姦されたと訴える。
ジャンはピエール伯爵に訴えても無駄だと思い、国王にジャックとの「決闘裁判」を直談判。
国王・シャルル6世はそれを認め、神に審判を委ねることになるのですが・・・
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感想
決して愉快な話ではないんだけれど、上映時間の長さを感じさせることのない映画。
ジャンの言い分、ジャックの言い分、そしてマルグリットの言い分。
それぞれの視点で完全に分けられて物事を見て感じているのですごく引き込まれるものがありました。
同じ場面でも捉え方が全く違うんですね。
ジャン、ジャック、マルグリットという順番で見せるのもすごくよかったです。
まず、ジャンの人物像に迫り、次にジャック、最後にマルグリットがどう見ていたのかが紐解かれていくのだけれど、何が引き込まれるかと言うと、時代は違えど感情の動き方が今の時代と何も変わらないところ。
男性と女性の対比。
ジャンはプライドが高く名誉を重んじ軽んじられることが我慢ならない人物。
ジャックは、ピエール伯爵に気に入られるだけのことはあるなと納得しちゃうような人物。
マルグリットは賢くてしっかりとはしてるけど普通の女性だったように思う。
ジャンが戦場から帰還するのを迎える時、新しく新調した胸の空いたドレスで出迎えるんだけれど、ジャンはいい顔しないんだよね。
ジャンに見てもらいたくてオシャレしたのにそれを「売女」扱いするなんて。
すごく悲しい気持ちになってしまうと思う。
そんなにあのドレスはいけなかったのかなぁ、って観ているだけなのにこっちまで悲しい気持ちになりました。
そしてジャックに凌辱されてから、マルグリットは強くなりました。
元々強かったとは思うけれど、より強くなる必要があったんだろうね。
敵はジャック一人じゃないという現実。
いちばんに頼りたいはずの夫は、純粋にマルグリットのために決闘裁判に持ち込んだとは思えず、ジャックへの私怨が勝っていると感じました。
マルグリットのことも自分の所有物くらいな気持ちなんでしょうね。
決闘裁判の結果次第で何が起こるかをマルグリットに話さなかったのは、話す必要なんてないと思ったからなんだろうなぁ。
ジャンもジャックもマルグリットの気持ちなんてどうでもよかったっていうのが見ていてとっても腹立たしかったです。
そして決闘裁判では・・・
あくまで無実を訴えるジャックをジャンが追い詰めるんだけれど、これまでの鬱憤を晴らすかのような執念を感じました。
2時間34分は長いと思うかもしれませんが、観始めるとあっという間です。
最後、子供と幸せに暮らすマルグリットの姿を見て、救いがあって良かったなぁと思える作品でした。
主な登場人物
- ジャン・ド・カルージュ:マット・デイモン
- マルグリット・ド・カルージュ:ジョディ・カマー
- ジャック・ル・グリ:アダム・ドライバー
- ピエール伯爵:ベン・アフレック